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▽講演会(平成十六年四月十一日)より
家族、教育、国なおし―― 戦後の宿題を片づけるために ――
 
私はもともと新聞記者なんです(元『サンケイリビング新聞』編集長)。新聞記者として介護や育児の問題など、読者の声を国会や政府に届けているうちに、国会議員になったらどうかと勧められて、平成十二年に衆議院議員になりました。
初めのうちは新聞記者が議員になれるのかしら、と不安でした。でも、朝、五時に起きて子供たちのお弁当を作り、満員電車を乗り継いで、だれよりも早く出勤していました。やらなければいけないことが、たくさん出てきたのです。まず最初は教育問題でした。

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(1/3) 一、教育の現場では
▼とんでもない冊子を中学生に配布
 国会議員になって最初にぶつかったのが、『思春期のためのラブ&ボディBOOK』という冊子。とんでもない性教育の冊子が百三十万部も印刷されて、中学三年生全員に配られようとしていました。
 そこには、「中学生ならセックスは当たり前」と、すごく軽い調子で書いてあります。そして、中絶にまで触れていて、日本のお医者さんの技術は安心だと言うのです。
 次のページはピル、避妊薬のこと。世界保健機関でも、「中学生は絶対飲んではいけない」と言っているものです。それを、「世界の皆が飲んでいる。女の子だけで避妊できるのが最大のメリット」「失敗率は一%」と言ってすすめています。
 これは大変な問題だと思いました。神様から頂いたきれいな体と魂を汚すようなことがあってはいけない。ましてや女の子は神聖な母親になるわけですから、そんなものを飲んではいけません。
 そこで私は、当時の文部科学大臣・遠山敦子さんに「こんな本を全員に配っていいのですか」と申しました。そんな質問をしたところから、「回収するように」という指示が出されました。
 でもなかなか回収されません。実は、その冊子は厚生労働省の外郭団体がピルの会社からお金をもらって作ったものだったのです。私は七十八人の国会議員で「健全な教育を考える会」を作って、とにかく回収してほしいと激しく戦いました。
 
▼あきれ果てた性教育
 このことをきっかけに、性教育はどんなふうになっているのか調べはじめました。
 そうしましたら、先生用の指導書に、「愛がなければセックスしてはいけない、という考えを押しつけてはいけない」というようなことが書いてあるわけです。実践報告書には、中学生になるといろいろあるかもしれないから、その場合にはピルをすすめるように、とある。快楽主義の薄っぺらな教育が行なわれているのです。
 十年前のことですが、私の子供が通っていた中学校でコンドームをはめ合う授業を受けさせられました。その時、私は先生に抗議しましたが、先生は、はっきりおっしゃいません。町によっては、三校に一校はそういうことをしています。
 こういう実態を訴えているうちに、ある学校では、お父さんとお母さんはこうやって性の営みをすると、イラスト入りで小学校三年生に教えていることがわかりました。「お家に帰ってしゃべらないこと」というプリントまで渡しています。
 それで、教育委員を通じて石原慎太郎都知事に調べてください、と申し上げました。
 去年六月、都議会議員が、ある学校に調査に行きました。議員さんが、「ここは小学校ですか、中学校ですか、アダルトショップですか」と言うくらい、ひどかったです。都知事は都議会で調査報告を聞かれて、「あきれ果てた。勘違いしている先生が多すぎる」と答弁なさいました。等身大の男女の人形、その他は押収。都庁で展示されました。
 
▼心の教育へ重点を移す
 私は国会で、とんでもない下品な写真、人形を持っていって、「こういうものをもって具体的に性教育をしています。どう思われますか」と小泉総理に申し上げました。
 総理は、「小学生にこんなことを教える必要があるのか疑問に感じる」「行きすぎじゃないか」「(性教育を)考え直さなければいけない」と答弁しておられました(NHKで中継)。
 今、日本では十九歳の女の子の十三人に一人が、性感染症に罹っている、と言われています。その八〇%は無症状。数年後には、産みたくても産めない不妊症の人が増えるでしょう。それは、神様から罰を受けるようなことではないでしょうか。
 アメリカでもヨーロッパでも、このような性教育をした結果、みんな興味本位になってしまい、妊娠、性病が増えました。ですから今は、「責任と抑制」を促す方向に大きく転換しています。そして、生命尊重と宗教的情操心の涵養という、心の教育に重点を移したら、どんどん中絶率が下がっていきました。
 日本は、欧米の間違いを繰り返そうとしているわけです。私は、それをなんとしても食い止めたいと思いました。
 
▼性のモラル混乱は国を滅ぼす
 中国では孫子の兵法に、相手の国を滅ぼすのに、武力を使うよりも道徳、モラルを混乱させたほうがてっとり早い、というのがあります。そのためには、性のモラルを混乱させるのが最もよい。
 今、日本では、自分の国を滅ぼすために、子供を教育しているのでしょうか。  警察庁の調べでは、「見知らぬ人と性交渉するのは本人の自由」と思っている中高生が、六八%もいます。「これは国家の安全保障の問題ではないか」と、私は国会で福田官房長官に質問しました。
 これだけ性のモラルがめちゃくちゃになったら国は大変です。きちんと結婚をして子供を産み育て、お父さんお母さんの役目、責任をしっかりもって生きていくという、人生の基本中の基本が壊れたら、国はおかしくなります。
 携帯電話で「出会い系サイト」というのにアクセスできます。そこには「処女買いませんか」などという書き込みがあるのです。子供たちはこんなにひどいメールをやり取りしているんです。自分の体を商品にしているわけですが、子供たちはそのことに気がついていません。
 私は、「身体髪膚、此れを父母に受く、敢えて毀傷せざるは孝の始めなり」と言って、皮膚、髪の毛すべて、お父さんお母さんから頂いたもの。父さん、母さんは、じいちゃん、ばあちゃんから……、二十代遡ると、百万人のご先祖様がお前のために「幸せになれ」と祈っている、だから、きちんと生きるんだよと、基本を教わりました。けれども、今の子供たちは、そうではありません。
 
▼国会には母親のアンテナも必要
 こういう出会い系サイトのことも、だれも陳情に来ませんから、議員の皆さんは知りませんし、対応がぬるい。これではいけないと思って、私は警察からいろんな被害の実例を集めました。そうしたら前年比九倍とか十三倍とか、少女の被害がどんどん増えていく現状がわかりました。そういうことを訴えているうちに、やっと議員の皆さんが声を上げるようになりました。
 最初、野党は「そういうものを規制するのは、表現の自由に反する。個人の自由を侵害する。警察国家になったら困る」などと言いました。与党は与党で、通信関連業者との絡みがあるのでしょうか、実状を知らないのか、反応がぬるい。それを説得していくことは大変でした。やっとこの前、「出会い系サイトに子供たちが書き込めない」という当たり前の法律ができました。それを通すのに、三年半、私は走り回りました。
 こういうことは、お母さんでないと気がつきません。「うちの子は、まさか出会い系サイトで…?」と、母親には何となく子供たちの風景が見えます。私もPTA会長などをしておりましたので、そういうアンテナが違うんですね。こういうアンテナをもつ人間が国会の中では案外少ないのです。
 私が衆議院議員として勤めていた最後のころは、男の国会議員さんたちが私の仲間になってくださって、「男じゃ言いにくい。ぼくの質問の時間を上げるから、山谷さん、お母さんの立場で言ってよ」というふうになってきました。
▽行き過ぎた「ゆとり教育」と「性教育」にストップをかける。
▽男女の区別は差別というジェンダーフリー教育をやめ、道徳教育、生命尊重教育、宗教情操教育の充実を図る。
▽国を愛し、日本人が大切にしてきた品位、節度、調和、正直、親切、勤勉を重んじる心が育まれるよう教科書を改善、教育基本法を改正する。
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