メッセージ(バックナンバー)

 出雲からの飛行機の席で、「ねむの木学園」の宮城まり子さんと隣同士になりました。
 肢体不自由児療護施設ねむの木学園を作り、子供たちの幸せのためにお金や法律の問題など困難を乗り越えてこられた長い長い日々のこと、まり子さん自身のかつての舞台のこと、恋人吉行淳之介さんの思い出などお話しました。
 まり子さんは別れ際に“六本木の森ビルアーツセンターギャラリーで7月1日まで美術展をしているの”とおっしゃられたので、私は“必ず見に行きます”と答えました。
 ねむの木のこどもたちは、まり子さんやスタッフの皆さんのお力で豊かな感性を伸ばしています。
 絵の描き方を教えるわけでなく、それぞれの個性で、それぞれの世界を表現しています。パリやニューヨークなどで500万人もの人々が魅了されている美術展です。
 よく晴れた、初夏の青空の美しい午後、森ビル52階に登りますと、美しいハーモニーが聞こえてきました。「アメージンググレース」「ざわわ」ねむの木のこどもたちが歌っておられるのです。
 色とりどりのハーモニーが、それぞれの絵の上をやさしく流れているのです。
 美術展開催にあたって、まり子さんはこんなメッセージを書いています。

本展開催にあたって
耳にしたり、目についたりするのはこどものいじめとか、自殺です。
遺言なんか、かいたって駄目よ。いじめるのは、淋しいからなの。自殺って、強がってるの。駄目よ。ねむの木学園のこどもたちって、病気にいじめられて、手や足が、不自由になったりしたのを、のりこえたから、やさしいの。そんな大切な命だから、絵をかくの。
それは、強いから。だから、いちばん高いビルの上から、やさしさをふりまくの。あなたにね。
みんななかよく、うれしさをふりまくの。それが、私の願いであり、生きていることが、「うれしいの」。
うれしさを52階から振りまきます。どうぞ、待ってます。あたし、待ってます。みんなで、コーラスも、しますね。
四十年を迎えて

 国会は会期末の時間の中で戦いと戦いの緊張した空気で張りつめられています。
 まり子さんとねむの木のこどもたちの愛の空間の中で、ほんのひと時、深呼吸する思いでした。遠藤周作さんは「人と人との出会いは、必ずその痕跡を残す」と“愛あるふれ合いをなさいませ”“愛ある人となりなさい”と教えてくれました。
 「政治家は人が愛し合える社会をつくるために働くのに、人を利用するために動く。それはいけない」と、私が立候補する際に、厳しい愛のアドバイスを下さいました。
 いちばん高いビルの上からやさしさをふりまき、ねむの木のこどもたちの“ほっぺにチュー”して歩いて回るまり子さんの小柄な体、疲れきっておられるだろうにエネルギッシュなその後姿に、遠藤周作さんの言葉を思い出したり、吉行淳之介さんのまり子さんへのやさしく厳しい応援の姿を感じたりしたのでした。

平成19年6月19日 山谷えり子

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