メッセージ(バックナンバー)
 民主党の代表選をめぐって、マスコミ各社の皆さまと意見交換の朝食会をいたしました。朝4時、5時まで働いて眠っていらっしゃらない記者さんもいらっしゃいます。
 本日、参議院本会議で在沖縄米海兵隊のグアム移転協定の承認案が民主党などの多数で否決され、午後の衆参両院協議会を経て、承認されました。
 夜、日本青年会議所の「日本神話絵本出版記念」教育の拠り所策定委員会発会式がありました。
 若い父親の皆さんが、子供たちに良い読みもの、特に神話を語り伝えたいと、このところ積極的に活動していらっしゃいます。私もご挨拶をさせていただきましたが、その中で、この4月に初の文庫化をされました皇后美智子さまが子供たちの希望と平和のために、語られた御本「橋をかける 子供時代の読書の思い出」(文春文庫 定価980円)の中から次の一節をご紹介させていただきました。

「橋をかける 子供時代の読書の思い出」 文春文庫
-抜粋-
 私は、自分が子供であったためか、民族の子供時代のようなこの太古の物語を、大変面白く読みました。今思うのですが、一国の神話や伝説は、正確な史実ではないかもしれませんが、不思議とその民族を象徴します。これに民話の世界を加えると、それぞれの国や地域の人々が、どのような想像力を持っていたか等が、うっすらとですが感じられます。
 父がくれた神話伝説の本は、私に、個々の家族以外にも、民族の共通の祖先があることを教えたという意味で、私に一つの根っこのようなものを与えてくれました。本というものは、時に子供に安定の根を与え、時にどこにでも飛んでいける翼を与えてくれるもののようです。もっとも、この時の根っこは、かすかに自分の帰属を知ったという程のもので、それ以後、これが自己確立という大きな根に少しずつ育っていく上の、ほんの第一段階に過ぎないものではあったのですが。
 又、これはずっと後になって認識したことなのですが、この本は、日本の物語の原型ともいうべきものを私に示してくれました。やがてはその広大な裾野に、児童文学が生まれる力強い原型です。そしてこの原型との子供時代の出会いは、その後私が異国を知ろうとする時に、何よりもまず、その国の物語を知りたいと思うきっかけを作ってくれました。私にとり、フィンランドは第一にカレワラの国であり、アイルランドはオシーンやリヤの子供達の国、インドはラマヤナやジャータカの国、メキシコはポポル・ブフの国です。これだけがその国の全てでないことは勿論ですが、他国に親しみをもつ上で、これは大層楽しい入口ではないかと思っています。


平成21年5月13日 山谷えり子

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