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月刊「正論」6月号(338頁〜)に
短期集中連載「フェミニズム「世界革命」を阻止せよ!」
「アメリカ『10年戦争』の教訓は無視された」という光原正先生の論文が
掲載されています。興味深い内容なので、概要をご紹介致します。
 
<アメリカ「10年戦争」の概要>
 「アメリカでは、フェミニスト団体が要求した憲法改正をめぐって1972年から1982年まで10年間にわたって大論争が繰り広げられました。改正の内容は、国連の女性差別撤廃条約を先取りするものでした。当初はアメリカのフェミニスト団体が、あいまいな答弁、事実の隠蔽をしてこの改正は成功するかに思われました。
 しかし、シェラフリーという共和党の著名な女性政治家が、この憲法改正案は「家族崩壊」を目指す左翼革命思想である過激な主張であることを論争で暴きました。そして、水際で憲法改正は阻止されたのです。
 アメリカでは、国連の女性差別撤廃条約の内容がフェミニズム思想を条文化していることを、この論争により分かっていましたので、条約は批准されませでした。」
 日本ではアメリカの「10年戦争」の事実が全く知らされず、1985年この条約を留保条項もつけず全面的に批准してしました。国会審議のとき、政治家や国民が「10年戦争」を知っていれば、こんなフェミニズム条約は批准されなかったはずです。
 女性差別撤廃条約を批准後、1999年この条約を国内法化する「男女共同参画基本法」が制定され、現在の混乱が生じていることはご案内の通りです。
 光原先生は、この論文の中で、アメリカではどのように阻止されたかの詳しい経緯、また、山谷議員の今年3月29日参議院外交防衛委員会質問を引用され、政府答弁の問題点を指摘されています。以下は引用部分です。

○344頁〜(抜粋・略・概要)
 政府は「ジェンダーフリー」という用語を使わない方針を明らかにしていますが、「ジェンダー平等」「ジェンダーに敏感な視点」という意味不明の文言を相変わらず頻繁に政府公文書で使っているとし、筆者は、山谷議員の国会でのやり取りを、次のように取り上げました。
- 山谷
「ジェンダーとは何か。ジェンダー・イコール・ソサイアティとは何か」
- 名取はにわ・内閣府男女共同参画局長
「『ジェンダー』(という用語)はおびただしい数の国連のフォーラムや会議で使われている。日本政府は、国際機関等の定義から『社会的、文化的に形成された性別』を意味すると理解している。ジェンダー・イコール・ソサイアティは、男女共同参画社会基本法にいう『男女共同参画社会』の英文仮訳である」
- 山谷
「この答弁は殆どの人には理解できない。女子差別撤廃条約は世界人権宣言に反し、母性を攻撃し、愛よりも仕事が大切だと言い(マザー・テレサの言葉を引用)、差別の概念が暖昧で、各国の社会的、文化的、倫理的、宗教的伝統を攻撃している。従って、アメリカはこれを批准せず、多くの国が留保条件をつけている。ところが、日本は何の留保もつけず批准した。その結果基本法が作られた。それがジェンダー・イコールという国民のコンセンサスを得てないものである。誰の責任でこういう訳をつけたのか」
- 局長
「基本法は、男らしさ、女らしさ、ひな祭りや鯉のぼりを否定するものではなく、母の日に反対するものでは決してない。なお、英文訳については、訳責は内閣府にある」
- 山谷
「それなら、イコール・オポチュニティ法と訳すべきだ」
- 局長
「基本法成立に当たり、男女平等法がいいという議論もあったが、やはり男女共同参画杜会がいいのではないか、その為男女共同参画社会の定義をした。その趣旨を踏まえ、ジエンダー・イコーリティと英訳した」
- 山谷
「その趣旨なら、イコール・オポチュニティ法である。谷川副大臣、国民に分かるように説明したらどうか」
- 谷川秀善外務省副大臣
「非常に分かりにくい部分が相当ある。ジェンダーにフリーをつけて合成語を作るなど、いかがかと思う。日本語にすべきだと言う感想を持つ」
 
 答弁によると、「ジェンダー・イコール・ソサイアティ」は、「男女共同参画社会」のことである。だとすると、「男女共同参画社会」とは「社会的・文化的に形成された性差を認めない社会」と解釈しているということになる。つまり、「男女の生物的性差はない」というフェミニストの見解を政府見解として取り入れていることを意味する。

 大変興味深い論文ですので、ご高覧いただければ幸いです。

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