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解答乱麻「教育の歪み示す教科書」
平成16年4月11日
 
教育現場で過激な性教育やジェンダーフリー教育、歪められた歴史教育が行われていることを国会の場でたびたび取り上げてきた。実態が明らかになるにつれ、最近は親も声をあげられる雰囲気になってきたが、ヤレヤレと思う間もなく、高校の家庭科教科書を見て驚いた。家族について「例えば祖母は孫を家族と考えていても、孫は祖母を家族と考えない場合もあるだろう。犬や猫のペットを大切な家族の一員と考える人もある」(東京書籍)と、祖母をペット並みか、それ以下としているのである。これでは家庭科でなく家庭崩壊科である。
 今年の大学入試センター試験では、選択的夫婦別姓を求める動きを男女平等の社会づくりの動きと意味づける問題が出され、他の大学でも偏った内容の夫婦別姓問題が出された。教師用の指導資料には「夫婦別姓は、夫婦であってもそれぞれ別な人格として尊重されるべきという新しい家族観を象徴し、改正の動きの象徴にもなっている」とあり、仕事上不便な女性には通称使用を認めよという議論とは違う意図、つまり、“尊重し合うなら夫婦別姓”と別姓のススメと読み取れる指導が行われているのである。
 また、別の教科書では「近年では、生活はともにするが婚姻届を出さず、事実婚を選択するカップル、離婚をしても新たなパートナーと出会い、再婚をするカップル、同性同士で生活をともにする人たちなど、さまざまな形で、パートナーとの生活を営む人たちもいる」(実教出版)と記し、多様性を大切にするとの装いのもと、あえて結婚の基本認識を持ちにくくさせる指導が行われている。家庭崩壊、児童虐待が社会問題となっているときに、いかなる教育観で家族のきずなを弱めようとするのだろうか。
 教育基本法が発布された占領下の昭和二十二年、教育関係者らは、戦後の教育のあるべき姿として、画一的な知育、徳育からの解放、すなわち自由と多様性を説いて回った。
国や家族に対し批判的な空気も広まったが、それがここ最近はバランスを欠いた形で進められているように思う。
 リンカーン元大統領は「国民は記憶の琴線で繋がっている」とスピーチした。人々と国家はいたずらに敵対するものではなく、国民や家族は文化や伝統、時のつながりの中で豊かに強められていくものであろう。
 中国、韓国が日本の教科書記述に干渉する根拠となった「近隣諸国条項」により、史実でない「強制連行」が教科書に載り、大学入試センター試験の問題となるまでになっている。先月末、検定基準から近隣諸国条項削除を求める署名約五十五万人分を集め文科相に提出する国民集会が開かれたが、関係者らは中立性を大切に良識ある教科書づくりへと動くべきである。
 教育の歪みを正すには、情報公開が必要である。せめて地域の図書館には教科書や教材を置いてほしい。予算はいくらもかからないのに私が国会で何度求めても実現しなかった。実現すれば乱暴なジェンダーフリー教育や性教育、歪められた歴史教育も少しは正されていくだろう。

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山谷えり子事務所
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