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アピール「強制連行」歴史教育の中立性欠く
平成16年1月24日
 
 大学入試センター試験の世界史の試験の中で「日本統治下の朝鮮」に関連し、「第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた」という問題が出され、それを正解とするのは設問に欠陥があり、採点から外すべきであると本紙正論(一月二十二日)に藤岡信勝氏が書いておられた。強制連行は、当時の言葉としてはなく、定義が困難で、政治的色合いをもって使われる不確定さがあるというのである。
 不適切設問との指摘に、私も賛成である。私は、昨年九月三十日の国会「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会」の席上、九月二十四日の国連総会で北朝鮮代表が「日本は朝鮮半島占領時代に八百四十万人を強制連行し・・・」と川口外相の日本拉致事件についての演説に反論したことにつき、八百四十万人強制連行説は事実かどうか確かめた。
 国会で、川口外相は昭和三十四年に調査したが、そうした事実はない。今もその時の調査を正しい資料としていると答えられた。
 歴史的事実としては、合法的な戦時中の徴用令が朝鮮半島に適用されたのは四カ月間。そして大半の渡航者は自主契約で占められていたという。
 たまたま我が家には受験生がおり、今回日本史受験をした塾の友人に、川口外相と私のこのやりとりを話したという。すると友人は「日本は悪いことしたのに、事実を隠そうとするの。強制連行は正解よ。教科書に書いてある」と、フフンと笑ったという。
 また、私大受験をしたある友人は面接の席で高校時代に取り組んだ活動を聞かれて、拉致問題の講演会企画を話したところ、面接官である大学教授は「日本は戦時中、強制連行したんだ。そのことをあなたは知って取り組んだのですか」と十分間の面接時間いっぱい教授が一人語られて、だれのための面接かわからなかったという。
 強制連行問題は平成五年度にも出題されている。どの国の歴史も光と影がある。しかし、定義があいまいであったり、事実に基づかないことを教え続けたり、間違った数字がひとり歩きしていくのは、いかがなものだろう。
 偏狭なナショナリストに育てようというのではない。国際社会の場で他国の意見に耳を傾け自国のことを率直に発言する子どもたちを育てるためには、歴史教育は、事実に基づく中立性を大切にしてほしい。

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