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産経抄
2003年9月10日 産経新聞
 
 衆議院議員でジャーナリストの山谷えり子さんは八月一二日、ご主人・小川聖氏を突然の事故で失った。山谷さんはそのことを「家族の応援団長だった夫」という見出しで八日付東京版教育欄に書いている。だから小欄も触れることを許されるだろう。
 聖氏も新聞記者(共同通信社海外部長)で、一緒に酒を飲んだこともある。山谷家の妻はどちらかといえばシャキシャキ女性だが、天の配剤か、夫は包容力豊かで悠揚迫らぬ男だった。その夫が五十六歳で事故に遭ったとき、妻は国会議員としてイラク視察中だった。
 山谷家には二十一歳の長女を頭に二女一男のお子がいる。通夜の席では三人はもごもご立ち、涙をこらえつつ、しかし堂々と参会者にあいさつをした。子らは優しく厳しかった父親と過ごした日々に受けた教えを語り、妻は“最強の応援団長”だった夫の思い出を語った。
 いま家族はますます空洞化し、崩壊していくという声が高い。世にはこびるフェミニズムも“家族の解体”をめざす思想だろう。しかし死んだ小川聖氏とその妻と子らは、家族こそ社会の基礎単位であることを事実として示していた。
 ところでジャーナリズムは非情なものだ。葬儀の日は『正論』十月号の締め切り日になっていて、山谷さんはそのあと高村正彦、中谷元両氏と座談会の席に駆けつけていた。いま同号掲載の「やがて来る自衛隊の諸君へ/イラクからのメッセージ」はその話し合いである。
 前記の教育欄の文章だが、夫を失った山谷さんは、最後で「この世は悲しみと残酷さにみちている」と書いている。そうだろう。しかし続けて「同時に、あまりにももったいない惠であふれている」と締めくくっている。信仰と信頼の人生観であろう。

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