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「創造的な生き方・・・」
こころのともしび 2002年10月1日 山谷えり子
 
 アメリカの高校に留学していた知人の息子さんが、数年ぶりに我が家に遊びにきてギターを弾いてくれました。高度なテクニックを要する作品であることがわかり、「誰の曲なの?」と尋ねると、「エリック・クラプトン。いいでしょ。うんと練習しないと難しい、、、。と笑って答えました。
 エリック・クラプトンといえば、ギターの神様とよばれるロックミュージシャン。ロックに詳しくない私は、彼が家庭的な問題で心に傷を負いながら育ち、有名になってからもアルコール漬けになったりのトラブルが絶えず、仲間たちから見離されては孤独の中で、さらに音楽の才能を輝かせていったことくらいしか知りません。最近はアルコール・薬物依存症患者の救済施設を運営したりで、音楽活動以外でもその生き方が注目されています。
 知人の息子さんは、とりつかれたように曲を弾いてみせます。彼は、アジアのある国から難民として来日した男性を父親として育ちました。習慣などの違いもありポツンと1人でいることも多かったのですが、頭脳と感性が鋭く、特待生として一流校へ進学します。しかし、優秀すぎるがゆえにイジメがあって、再び特待生としてアメリカの高校に招かれるのです。
 演奏中の彼に「どうアメリカは」と尋ねると「最高です」と、はずんだ声が返ってきました。でも、エリック・クラプトンの曲を前のめりで弾く姿には、彼の心の傷の深さと、だからこそ戦い続けねばならないひりひりとしたエネルギーがあふれていました。
 創造的な芸術家、あるいは創造的な生き方をしている人には、必ず多くの傷ついた体験や失敗のつみ重ねがあるものです。思い通りにいかない苦しみの中に紙は寄り添ってくれ、その人をその人らしく鍛え、なぐさめ導いてくれるからでしょうか。

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