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「時」の動き 第8回
人間の「性(セクシャリティ)」の深みを学ぶ教育は?
あけぼの 2002年8月号
違和感を覚える教科書記述
 「家事をママにだけ押しつけるのは残酷だ。みんなが食べて、みんなが汚すのだから、みんなで家事をササッとやろう」 父はこう言いながら、いつも軽やかに家事をこなしていました。義父も、わが家の子らが遊びに行くときはゼリーやサンドイッチを自ら作っていそいそと待っていたものでした。
 ですから、平成六年から男子も家庭科を学ぶようになり、男女共同参画社会、つまり男女が社会の対等な構成員として、さまざまな分野の活動にチャレンジする社会を作ろうという現在の流れは良いことだと思っています。 
 とはいえ、昨今、違和感を覚えるところも多いのです。
 たとえば、現在最も広く使われている高校家庭科教科書の中には、「専業主婦として、日中家で子どもと過ごす母親は、生きがいは子どもだけになり、いっぽうで孤独感やいらだちを募らせる。子どもは友達との関係がきずけなくなる」「日本は欧米先進国と比較しても、離婚率はあまり高くはない。では日本の夫婦関係は良好かといえば、そうともいえない。離婚後の経済事情を考えれば、結婚生活をつづけざるをえないケースなどもあるからである」と、女性の自立に関して一方的でステレオタイプな記述がありますし、妊娠については「やむをえずうめない場合には母体保護法において、人工妊娠中絶という方法を選択することもあるだろう。こうした選択肢は、女性の基本的人権の一つとしてとらえることができる」という記述も見られます。こうした記述は、いずれも生命や絆に対する深いまなざしが欠けており、教科書検定基準にある“誤解されるおそれのある表現”“健全な情操の育成にについて必要な配慮がある”にてらしてみても問題ではないかと考えて、過日、衆議院文部科学委員会で副大臣に見解を質したことがありましたが、明確な答弁は返ってきませんでした。
 また性に対しては「人間にとっての性行動は、単に生殖につながるだけのものではなく、男女のコミュニケーションとして愛情を育て、確かめあい、互いに充足感を求めようとする行動である」と教科書で“愛と性の文化”を強調しています。

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