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土曜自説…
朝日新聞Be on Saturday 2002年5月11日
 
地域ぐるみで就職支援を
 政府は昨秋、緊急雇用対策の一環として、「キャリアカウンセラー」という制度の創設を打ち出しました。職を求める人たちにアドバイスする専門家を5年間で5万人育てるという試みです。私も当初は大変期待しました。
顔写真 ところが、ふたを開けてみてびっくり。新年度予算に35億円が計上されていますが、その中身は希望退職に応じたり、その一歩手前の中高年のホワイトカラーに職業能力開発大学校などで研修を受けさせ、各地のハローワーク(職業安定所)などに配置するもの。まったく、おざなりな内容なのです。

 米国には、大学・大学院で専門的な教育を受けたキャリアカウンセラーが17万人もいます。数だけではありません。発想が違います。なんと、その6割が、小・中・高校にいるのです

 小学校では、子どもの適正を見極めて、地域でどんなボランティア活動をしたらいいか、といったアドバイスもします。高校卒業後、お店を開きたい子には、取引先に紹介状を書いてあげるといった、「起業」のサポートまでするのです。教師が大学院に入り直してカウンセラーの資格をとるケースも珍しくありません。
 たしかに、米国と日本では、職業観や転職についての考え方がかなり違います。でも、失業問題の根本的な解決のためには、地域ぐるみで子どもたちに生きる力を身につけさせる地道な活動が必要なのではないでしょうか。
 まず、教師や住民、企業が、これまでの枠にとらわれずに地域社会に出て、ボランティア活動をしている人たちと手を携えることです。次に全国の大学にキャリアカウンセラー養成課程の大学院をつくります。そこに、地域活動を経験した人たちを受け入れ、専門教育受けて資格を取ってもらえばいいでしょう。私たち民主党は、そのための法案を提出しています。
 それぞれの人が地域のなかでどう生きていくかを一緒になって考える。この発想は、中高年の再就職でも適用すると思います。

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