メッセージ(バックナンバー)
 ウイグルの母とよばれるノーベル平和賞候補者ラビア・カーディルさんからウイグルの現状について話を聞きました。
  ラビア・カーディルさんは1948年生まれ、新疆ウイグル自治区で洗濯屋から身を起こし、実業家として成功。中国人民政治協商会議委員を務めるなど、ウイグル人を代表する著名人として知られ、また、社会奉仕活動にも力を入れ、ウイグル女性の起業を支援する「千の母運動」は実績を上げられました。
 政治協商会議において、民族問題に関する政権批判を行ったことで政協委員を解任され、1999年に国家機密漏洩罪で逮捕、6年にわたって投獄され、2005年に米国に亡命。その後、世界ウイグル会議の議長として、中国におけるウイグル人の人権擁護を訴える活動を行っており、「ウイグルの母」とも呼ばれています。
 ウイグル人の人権状況を訴えるラビアさんの活動は、国際社会から大きな注目を集め、投獄中の2004年にラフト人権基金の人権賞を受賞したほか、2006年にはノーベル平和賞の受賞候補の一人にも選ばれておられます。
写真:ラビア・カーディルさんからウイグルの現状について話を聞きました。
 まず、ラビアさんは、日本に留学したウイグル人は1000人を超えていることに感謝を述べられました。そして、中国政府によるここ60年間の文化、宗教、経済活動のチャンスの抑圧、数百万人の漢民族移民によるあらゆる分野でのウイグル人のチャンスが奪われていったことを話されました。(1949年ウイグル族が76%漢民族は6%でしたが、2003年にはウイグル族が46%漢民族は40%中国政府によるテコ入れが相当あった思われます。)
 ラビアさんの話によると、6月26日の夜中、広東省韶関市の玩具工場で働いていた16〜24才のウイグル人にいきなり中国人が棒をもって攻撃してきた。5時間ほど続いた事件で、中国は警察すら送ってこず死亡者は約60人、約100人がケガ、逃げた約600人のウイグル人は、今もどこにいるかわからない。この事件の10日後、この事件をうけて、中国当局による説明を求めるためウイグル人が集まった7月5日の夜に起こったウイグル人のウルムチ集団抗議事件についての経緯と現状、背景にある問題についてお聞きしました。
 ウイグル人学生は、平和デモをしていたにもかかわらず、中国側が暴力をふるい、無差別発砲が始まったこと、中国当局による映像とニュースがもっぱら流される中で、正しい判断を国際社会がしていってほしいと訴えられました。国連は人権委員会で実態の調査をし、事実に基づいた判断のもとに、すべての人々の人権が守られるよう求めるべきではないでしょうか。アメリカは人を派遣して調査中といいます。
 この会議の後、ラビアさんは米国議会の公聴会に出席するため、帰国されました。

平成21年7月29日 山谷えり子

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