朝5時台に家を出て、深夜に帰宅したりするもので、朝刊を読むのが遅れたりします(今回の選挙では28選挙区と比例候補の応援に走り回っています)。 |
そんなある朝、友人たちが「お母さんの新聞投書読みました。なかなか良かった。」と携帯電話が次々と入りました。 |
さっそく新聞を手にすると、あらあら、「笑顔」というテーマでの投書欄に投書が載っていました。 |
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【夫の言葉 今しみじみと…】 カウンセラー 山谷和子79 |
結婚が決まりあこがれの東京へ- |
しかし昭和21年11月、入ったところは新聞社の寮で窓もない四畳半一間でした。 |
福井県の鯖江という田舎に生まれ、両親にかわいがられて育ち、友人と近くの練兵場を走りまわり、また小川でメダカをとったり、探し当てた四つ葉のクローバーで王冠を作り王女様気分を満喫したりの日を送ってきた私でした。 |
田舎だから、私の部屋も広いものでした。私の顔に心配が出たのに夫は気づいたのでしょう、「山も谷もあるがシンペイするな」と言いました。 |
夫27歳、私21歳でした。 |
数週間が過ぎたころ、夫は「和子は美人じゃないが笑顔がいい」。自分の笑顔を見たことはないが、そうなのかと素直に思いました。 |
いま、おばあちゃんの原宿といわれる巣鴨の「とげぬき生活館」でカウンセラーの仕事をしています。私との面接を終えられた方が笑顔で帰られるのを見るにつけ、美人じゃないがこの顔でよかったとしみじみ思う今日このごろです。 |
「美人じゃない」と言った夫は23年前、世を去りました。 |
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お母さんの笑顔って大切です。子供にとっては、宇宙のすべてです。母の笑顔で、私は「この世は楽しいところ」と幼い頃に無条件で信じる心を育ててもらったのかもしれません。 |
帰宅すると息子が言いました。 |
「おばあちゃんの投書良かったね。79才のカウンセラーの女性が、亡くなった夫の言葉に励まされて今も生きている。そして読んだ人は、ひとさまに、その笑顔を届ける場面を想像しながら夫は死んでも、妻の中で生き続ける。夫婦の意味、人生の意味を確かめ、共感して感謝が改めてわいていると思うよ。高齢者の未亡人が元気になるよ。」 |
娘が言いました。 |
「いつまでも燃えて、生きる証を次の世代に伝えてくれるのは意味のあることよ。みんなもっと語ったらいい」 |
そう、そう、ホント。おじいちゃん、おばあちゃん、年配者は、次の世代の灯台です。 |
おしゃべりな世の中で、本当に大切なことは案外語られていないのかもしれません。 |
母に私たちの感想を伝えると、恥ずかしそう。けれども、とても嬉しそうでもありました。 |
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平成19年7月23日 山谷えり子 |