メッセージ(バックナンバー)

 10/19党の憲法調査会で国民の権利と義務についての議論がありました。
1. 国民の権利(新しい権利その他)
  1)環境権、2)プライバシー権、3)情報開示請求権、4)生命倫理、
5)知的財産の保護、6)犯罪被害者の権利、6)政教分離
2. 国民の義務(責務)
  1)公共的責務、2)家族の保護
3. 社会目的(理念)
以上について議論されました。
 私は家族の保護について、憲法に書き込む必要を訴えました。戦後の占領下で作られた憲法は国や家族はあたかも抑圧的で個人の自由と対立するかのような思いがあったように考えます。個の権利の尊重がうたわれる一方で、公共や家族、義務、責任の項目がバランスの面で弱くなっています。
 そこで「家族は保護尊重されるべきことを憲法に明記すること。少子高齢社会にあって、どのような家族政策を充実させていくかを議論するうえで、重要であること。たとえば保育施策についても、保育所の整備をして労働者としての親を支持すると同時に家庭の中で育児がゆったりと行われるよう保育者、教育者としての親を支援することも大切である。バランスが21世紀の日本でどうあったらいいか考えていくうえで、家族尊重の権利を憲法にどう明記されているかで違いがでる」と訴え、私の意見に多くの賛成の声があがりました。ちなみに諸外国では、家族の保護について、このような書きぶりとなっています。
 
<韓国憲法>
(婚姻および家族生活、母性保護、国民保健)
第36条 婚姻および家族生活は、個人の尊厳と両性の平等を基礎として成立し、維持されなければならず、国家は、これを保障する。
2 国家は、母性の保護に努めなければならない。
3 すべて国民は、保護に関して、国家の保護を受ける。
 
<中華人民共和国憲法>
(婚姻・家庭・老人・婦人・児童に対する配慮と保護)
第49条 婚姻、家庭、母親及び児童は、国家の保護を受ける。
2 夫婦は、双方ともに計画的出産を実行する義務を負う。
3 父母は、未成年の子女を扶養・教育する義務を負い、成年の子女は、父母を扶養・扶助する義務を負う。
4 婚姻の自由に対する侵害を禁止し、老人、婦人及び児童に対する虐待を禁止する。
 
<ドイツ憲法>
(婚姻、家族、非嫡出子)
第6条 婚姻及び家族は、国家秩序の特別の保護を受ける。
2 子の監護及び教育は、両親の自然的権利であり、かつ、何よりも先に両親に課せられた義務である。その実行については、国家共同社会がこれを監視する。
3 (略)
4 すべての母は、共同社会の保護と扶助を求める権利を有する。
5 非嫡出子に対しては、その肉体的及び精神的発達並びに社会におけるその地位について、立法により嫡出子と同じ条件が与えられる。
 
<イタリア憲法>
(家族形成への配慮、母性・児童・青年の保護)
第31条 共和国は、経済的手段その他の措置により、家族の形成及びその責務の遂行を、特に大家族を考慮して、助成する。
2 共和国は、母性、子ども及び青少年を保護し、この目的のために必要な施設を助成する。
 
<スペイン憲法>
(家庭、子ども及び母親の保護)
第39条 公権力は、家庭の社会的、経済的及び法的保護を保障する。
2 公権力はまた、子どもの完全な保護を保障し、子どもは、その出生に関わりなく、法の前に平等である。公権力は、民法上の地位のいかんを問わず、母親の完全な保護を保障する。父親の調査は、法律でこれを認める。
3 親は、嫡出たると、非嫡出たるとを問わず、子どもが未成年の間、及びその他法的に定められている場合、あらゆる種類の養育を行わなければならない。
4 子どもは、その権利を保障する国際条約で定められた保護を享受する。
 
<ロシア連邦憲法>
(母性、子ども、家族の保護)
第38条 母性と子どもであること、家族は、国家の保護の下に置かれる。
2 子どもに対する配慮、その養育は、両親の平等な権力と義務である。
3 18歳に達した労働能力を有する子どもは、労働能力のない両親に配慮しなければならない。
 
<ポーランド憲法>
(家族の福祉)
第71条 国家は、自らの社会政策および経済政策において、家族の福祉を考慮する。困難な物質的および社会的条件にある家族、とりわけ子どもの多い家族および単親家族は、公的権力からの特別な援助を受ける権利をもつ。
2 子を出産する前と後の母親は、公的権力の特別な援助を受ける権利をもつ。援助の範囲は、法律がこれを定める。

平成16年10月20日 山谷えり子

<< 前のメッセージへ 次のメッセージへ >>

山谷えり子事務所
〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館611号室
TEL:03-3508-8611/FAX:03-5512-2611