メッセージ(バックナンバー)

 クリスマスイブ。近くの幼稚園児の子供たちとミサを受けました。元気な声でクリスマスソングを歌う姿を両親、両祖父母の皆さんがこのうえもない表情で見つめています。聖家族の誕生祭ですものね。
 神父さまは、こんなお説教をなさいました。
 「イエスさまは馬小屋でお生まれになりました。ロバやウシ、ウマが祝い、見守りました。実は天使は、ライオンにも来ないかと声をかけたのです。でもライオンが“喜んで行きます。悪い奴がいたらこのキバで殺してやります。”と言うので、荒々しい力はふさわしくないと断りました。キツネに来ないかと声をかけると、キツネは“喜んで。近所の家から卵とニワトリを盗んでプレゼントとして届けます。”と言うので、だましたり盗むのはふさわしくないと断りました。クジャクに来ないかと声をかけると、クジャクは“喜んで。この自慢の羽根を見せて祝います。”と言うので、自慢屋さんはふさわしくないと断ります。そして、天使は謙遜で分をわきまえたウマとウシとロバにイエスを祝いに来るよう頼んだのです。皆さんも謙遜で率直であたたかな心を持つ人になって下さいね」
 良いお説教だと嬉しくなりました。そして、そっと心の中で“でも、世の中は荒々しさやだましや自慢に満ちているから、それに負けない心と知恵を少しづつでもいいから育ててね”とつぶやいたのです。子供たちが次々と大きな声で祈ります。
 “病気でミサに来られない人のために祈ります。淋しがらないで。”“病気の人を看病している人のために、神さまのやさしさが届きますように…”“地震や大雪の被害、世界中の思いどおりいかない人々の悲しみに神さまの愛を届かせて下さい”聖書は、信仰のあり方について“幼子のようになれ”と語っています。
 夕食をすますと、近所の素敵なあったかファミリーが手づくりのクリスマスケーキを届けて下さいました。上品で良いお味!お母さんと三人の小学生のお嬢さんたちがケーキを作っている写真が添えられています。撮影者はご主人でしょうか。“一年間日本の国のために働いて下さってありがとうございます。感謝一杯”とカードが添えられており、もったいなさすぎると恐縮しました。
 クリスマスについて、私がラジオ番組のために書いたエッセーの一部を紹介します。
 “夫が亡くなり、今年は三度目のクリスマスです。夫のおかげで、あたたかな家族の暮らしができたこと、そして今も続いていることが夢のようです。昨年のクリスマスは、姑が七面鳥のお腹においしい詰め物をして、焼きあげた料理を届けてくれました。いつもの年は、夫がナイフを入れるのですが、その日は家族皆で順番に夫の思い出を話しながら切り分けました。息子に先立たれた80代の姑はどんなにか悲しいでしょうに「これからも、息子は孫たちにとって、いいお父さんをしながら生き続ける。感謝ね、感謝ね」と語りました。子供たちは「お父さんの作った家族、サイコー、バンザイバンザイ」と言いました。この子たちが赤ちゃんだった頃、夜泣きをするたびに、夫は起き出して幼な子を抱いてワルツを踊った思い出がよみがえりました。感謝しながら、思い出を新たにするたびに夫はこれからも、子供たちが特に悩みや苦しみにある時、子供らを抱きとめて歩いてくれるような気がします。…愛のスタートは家族、このメッセージは世界共通のものです。ほほ笑みと祈りを寒さの中でこそ抱きしめたいと思います”
 雪国の雲の重さを思いつつ…大晦日まであと一週間です。

平成17年12月24日 山谷えり子

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