米中枢同時テロで問われる日本の宗教教育 |
平成13年11月1日 産経新聞掲載記事 |
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文相「一定の知識必要」学校現場では排除傾向 |
米中枢同時テロをめぐり、日本の宗教教育のあり方が問われている。三十一日開かれた衆議院文部科学委員会で、遠山敦子文部科学相は「宗教に関するある程度の知識がないと(テロについて)間違った理解をする」と答弁。一定の宗教教育の必要性を認めた。しかし学校現場では、宗教色を排除する傾向が強いのが実情だ。 |
この日の文部科学委員会で、民主党の山谷えり子氏は「今回のテロを宗教戦争と考えてはならないが、だからこそ宗教的な教養教育が必要」と訴えた。 |
これに対し遠山文部科学相は「歴史や文化を通じて宗教的なものを考えさせることも大切。憲法や教育基本法の趣旨を踏まえ、宗教や信仰に着目させながら日本人の生活様式や伝統文化を理解させる指導が必要」などと述べた。 |
公教育における宗教教育は、教育基本法で「特定の宗教のためにしてはならない」などと、一定の枠がはめられている。しかし文部科学省では宗教的な情操に関する道徳教育の必要性を認めており、小・中学校の学習指導要領でも「人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深める」ことを掲げている。 |
一方、学校現場では宗教色を極端に排除するケースが目立つのも事実。富山県の多くの小・中学校では従来、給食時に当番が「合掌」と呼びかけ、全員が手を合わせて「いただきます」と唱和していたが、平成八年以降「宗教的色彩がある」との指摘で取りやめる学校が相次いだ。千葉県の県立高校では武道館や体育館にある神棚が問題視され、約六十校で裁判ざたに発展した。 |
こうした中、今後の教養教育のあり方を養護している中央教育審議会の教育制度分科会は、「世界の宗教や異文化に対する理解」を促進させるとする骨子案をまとめ、一日に開かれる中教審総会に提出する。 |
骨子案では「グローバル化時代に生きる世界市民の教養として、宗教に関する理解は不可欠」としている。 |
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