平成13年度活動報告

科学技術基本計画について(談話)
民主党 教育科学ネクスト大臣 山谷えり子
 
 政府は第2期科学技術基本計画(平成13年〜2005年)を閣議決定し4月から開始された。小泉総理大臣の所信表明演説の中でも「科学技術創造立国を目指し、産業競争力と質の高い国民生活の基盤となる科学技術分野への戦略的な研究開発投資を促進するとともに、研究開発システムを改革します。」とのべられている。 この計画の目指すべき国の姿として知の創造と活用により世界に貢献できる国、また国際競争力があり持続的発展ができる国、そして安心・安全で質の高い生活のできる国を掲げている。
 この計画は5年間に24兆円を研究開発費に投資する。これは第1期科学技術基本計画(1996年〜2000年)の約40も上回るものである。これまでの第1期計画ではGDP比0.67%でアメリカ、ドイツ、フランスの0.84〜1.03%に及ばなかったのをGDP比1%をめざし、欧米並みの水準にする計画である。
 そして重要政策として科学技術の戦略的重点化と科学技術システム改革を柱としている。そのなかで重点的に取組むのはライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野としている。 また科学技術システム改革は研究開発システム、人材育成、研究評価などを総合的に改革していくこととしている。
 今回の基本計画では、これまでの関係省庁の縦割りで計画が練られ実行されてきたために総合性や戦略性に欠けると批判されてきたことを踏まえ、総合科学技術会議を内閣府に置き、総理のリーダーシップの下で総合戦略を機動的に運営できることとなっている。
 今回の科学技術基本計画が着実に実行されるならば、科学技術立国として日本だけでなく世界に貢献できる国となることができる。
 しかし、着実に実行されるには多くの問題がある。
 第1に総合科学技術会議がその重要な任務を果たせるかどうかである。そのためには縦割り行政を排して関連予算や人材の配分、その根拠となる研究評価をし研究資源を機動的に投入して競争力を確保するような強力な指導力を発揮しなければならない。総合科学技術会議の強力なリーダーシップが求められている。
 第2に科学技術基本計画に盛り込まれた多くの計画の目標年次を明確にした早急な具体化プランと着実なフォローアップ体制の確立と実行である。第1期の計画に盛り込まれていた大学等の施設整備は、目標が1200万平方メートルであったのが昨年度までにわずか279万平方メートルしかできていない状態である。個々の計画の具体的なスケジュールの作成と着実なフォローアップ体制がなければ目標達成はむずかしい。
第3に研究開発の公正・厳正・透明な評価制度の確立と明文化。そして情報公開である。公平な評価に基づくフェアな競争が無ければ研究者の能力が最大限に発揮することが出来ない。日本ではこれまで大きな研究費の配分や学会賞の授与などは学閥や人脈に左右されがちだといわれてきた。この評価制度の明文化と情報公開によって公正な競争が生れ研究が促進され、公平な資金配分が可能となる。
 これらの問題の解決に取組まなければ24兆円もの予算をつぎ込まれる科学技術基本計画は、予算のばらまきに終わってしまい画餅の餅となるだろう。真の科学技術立国を目指すためには、これらの問題の解決を強く望むものである。
平成13年5月8日
(民主党ホームページ掲載)

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