メッセージ(バックナンバー)
 三週間ぶりくらいでしょうか、久々のお休み。
 シーツを洗って、ふき掃除、つくろいものをして買物。
 そして、高校時代の友人の根岸吉太郎監督が9月にモントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した太宰治の小説の映画化「ヴィヨンの妻-桜桃とタンポポ」をやっと見に行くことが出来ました。
 浅野忠信が演じる太宰らしき小説家とその妻を松たか子が演じます。
 男性の繊細さ、自堕落さ、弱さ、我まま、曖昧さ…、女性の明るさ、無邪気さ、素直さ、愚直さ…、高校時代から小さなことの中に真実を見つけること、こだわることの天才、根岸監督らしい映画です。
 日本らしい匂い、質感、肌ざわりが迫り包んでくれます。映画館で見てくださるお客さま全員に感謝し、外に出て、カントクにケータイしました。
 「ネギ、今、映画、見たよ。いい映画を作ってくれてありがとう。女の素直さ、水のような素直さ、いい感じで出ていたわねぇ。映画のバックにずーっと水の音が聞こえるような、錯覚を覚えるほど、ヒロインの女の水のような素直さが、今、私の体の中に流れている」
 電話口のネギは含羞を含んだ声で「見てくれたの?水の音が聞こえてた?ふふ、あー…忙しいのに見てくれたの?有難う…」
 モントリオールで最優秀監督賞をとっても、一人一人が映画を見てくれることを心の底から喜び、驚き、感謝するような口調のネギ。この人間性だからこそこれからもいい映画を作ってくれそうと、思ったのでした。

平成21年10月24日 山谷えり子

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