メッセージ(バックナンバー)
 内閣委員会で銃刀法改正案についての質問、法務委員会で国籍法改正案についての質問に立ちました。
 
 今回の銃刀法改正案は、平成19年に起きました長崎県佐世保市の散弾銃乱射事件、今年6月に起きました秋葉原の無差別殺傷事件を契機として提出されたものです。
 銃砲刀剣類の所持許可の欠格要件の追加、許可が取り消された場合の欠格期間の延長、ダガーナイフ所持禁止などが盛り込まれ、都道府県公安委員会への申出制度も整備されました。
 佐世保の事件では、銃所持を許可されている容疑者の言動がおかしいと近所の住民が訴えたにも関わらず、警察が動かなかったとの報道がありました。この点を指摘し、今後はしっかりと対応するよう求めました。
 質問では、所持許可の更新期間の短縮、公安委員会への申出制度の周知徹底、銃器のネット・通信販売規制、犯罪を誘発するようなサイト(例えばダガーナイフの使い方が載っているサイトなど)への有害情報指定、インターネット・ホットラインセンターの現状と改善などの項目を取り上げました。
 連日痛ましい事件が起きていますが、少しでも事件を減らすことができるよう、真摯に取り組んでまいりたいと思います。
 
 法務委員会では、国籍法改正案について質問いたしました。
 今年6月の最高裁判決をうけて出されている改正案です。
 日本人男性と外国人女性の間に生まれた子に関して、生後認知の場合、これまでは父母の結婚を要件として日本国籍の取得を認めていたのですが、今度の改正案では、婚姻要件を外し、父親の認知だけで日本国籍の取得を認めようとしています。
 認知だけで日本国籍が付与される今回の改正が行われれば、虚偽認知、ブローカー等が介在する組織的な虚偽認知ビジネスが横行する恐れがあります。
 質問の冒頭で、6月の最高裁判決は国籍付与まで踏み込んでおり、司法権の範囲を超えているではないかと質しました。最高裁の裁判官15人のうち5人が司法権の逸脱ではないかと言っています。
 その上で、偽装認知をどう窓口で防ぐのか、届出の際の父親同行を原則とすべきではないのか(改正案では、父親の同行は任意)、提出書面や聞き取り調査などがきちんと行われるかどうか、組織的に偽装認知ビジネスを行う悪質な者に対する罰則はどうなっているのか、父親が行方不明になった場合の提出書類等はどうなるのか、などを質問いたしました。6ヶ月ごとに全国50の法務局の窓口で、どんなケースで何件国籍届けがあったかの報告を法務委員会で行うよう求め、法務省より明確な答弁をもらいました。
 国籍の取得というのは、国家の根幹に関わる重大事項です。今回の改正案では、偽装認知などの問題に十分な対応ができない懸念が依然残っています。
 引き続き慎重審議をしていくよう求めました。
 
 私の質問の一部です。
 
 「本年6月4日に出された最高裁判決は国籍法規定を違憲と判断したものですが、日本国籍取得までをも認めたのは、立法措置に等しく、国籍取得までは認めないという最高裁裁判官が15人中5人おられたわけですね。
 私もこれに対しては非常な違和感を持っておりまして、この国籍付与というのは司法権の逸脱ではないかというふうに考えております。
 立法措置に踏み込んでいることにもう当事者すら、5人の裁判官がおかしいと言っている。
 これ、法解釈の限界を超えているという意見を述べた裁判官もおられた。
 違憲状態の解消は国会にゆだねるべきだと思います。これ、三権分立を侵しているんじゃないでしょうか。」
 「現行の国籍法では簡易帰化制度もあります。判決では、家族の生活や親子関係に対するその後の意識の変化や実態の多様化を考えれば、この要件は今日の実態に適合しないとありますが、そうなんでしょうか。
 そうじゃないという方も本当にたくさんいらっしゃるわけですね。違憲判断に様々な問題点が含まれている場合、慎重に審議すべきだと思いますが、刑法二百条の尊属殺規定については、違憲判決が出てから多数の反対もあり、三十五年間改正されなかった。
 今回の判決も多くの国民が懸念を示していると思いますが、その辺の状況をいかが思っていらっしゃいますか」
 「国籍の取得というのは、差別の問題ではなくて、主権の問題、統治権の問題、つまり政治的な運命共同体のフルメンバーになるわけでございますから、国籍というのは主権の問題というふうにとらえてよろしいでしょうか」
 「慎重審議に訴えますのは、今の改正案には懸念される事柄が多いからでございます。特に問題になるのは偽装認知をどう防ぐか、そのためにこの委員会のやり取り、随分ございましたけれども、偽装認知を防ぐために法務局の窓口ではしっかりといろいろなことをやるというふうに言っておられますが、ブローカー等が介在して組織的に巧妙に偽装が行われる心配がございます。
 全国に法務局、どれくらいあって、窓口によってばらつきなくきちんとやっていくというその担保を今どのような形で考えていらっしゃいますか」
 「申請の際に父親を原則同行させ、聞き取り調査をすべきではありませんか」
 「過去に多数の認知した子供がいる場合のチェックのために、父の出生から現在までの父の戸籍謄本や父の住民票又はそれに類する父の住所を証する書面など必要と思いますが、いかがでしょうか」
 「認知に至った経緯の記述、聞き取りなど、調査の方法に万全な措置を講じてほしいと思いますけれども、現在どのように進めていらっしゃいますか」
 「国籍は大変重うございます。日本には簡易帰化制度があります。国民の心配、懸念は本当に大きいものでございます。悪意か悪意でないか、認知がですね、見極めるのも難しい。
 組織的犯罪が起こる心配があるわけですから、半年ごとに委員会に、どのぐらいの届出があったのか、件数やケース、どこの法務局の窓口でどうだったと、こういう報告はしていただけますか」
 「個人ではなくて組織的に偽装認知ビジネスをしているような者、ブローカーなど悪質な者に対してはどのような罰則規定がございますか」
 「申請の際に父親を原則同行してほしいと思うんですけれども、これ認知してから行方不明になっている父親は無理ですよね。そういう場合はどのような書類、また写真という話もありますけど、どのようなことを考えていらっしゃいますか」
 「国民は、国の尊厳、国籍の重さ、尊いものと思っている。そしてまた、偽装認知の防止、どのように担保されるのかと、心配しているわけでございます。
 その辺の委員会のやり取りをお聞きになられまして、森大臣から御所見を伺いたいと思います」
 
 これらの質問に対して、政府側は、国籍付与を「主権者を決めるということ」だと認め、父親にもできるだけ協力を求めて聞き取り調査等を実施していくと答えました。
 半年ごとに件数やケースを委員会に報告することを求めたのに対しても、「委員会の求めがあれば、それは当然にやるべきだと思っております」との回答をひきだしました。
 森大臣からも、調査に万全を尽くし、懸念が払拭されるよう督励していくとのご答弁をいただきました。
 詳しくは、「委員会等」のページをご覧ください。

平成20年11月27日 山谷えり子

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