メッセージ(バックナンバー)
 ふるさと福井に母と娘と墓まいりに帰りました。
 親戚、友人に囲まれ、粟田部の地で薪能を楽しみました。昔から能、狂言がさかんな土地柄で、母も祖父も多くの仲間と宝生流のおけいこをしていました。
 人間国宝の野村万作、萬斎さんが舞台においでくださり、地元の子供たちにも、ていねいな指導をしてくださり、実行委員会を中心に1500人の人々が集まり、はるかな山を見つめ、月と星々に照らされ、ご先祖さまも一緒に楽しんでくださるようで、もったいないことでした。
 また、昔から北前船、貿易をしていた三国の港で花火を見ました。海の中に花火を仕掛けて、海中と空からの花火は、ちょっと他では見られない美しさです。
 
 8月14日は千鳥ヶ淵戦没者墓苑に38の宗教団体の皆さまと慰霊の集まりを行いました。
 途中、雨に降られながら、平和の祈りがひとつになる思いがしました。
 8月15日は、靖国神社に参拝し、武道館での全国戦没者追悼式にまいりました。
 天皇・皇后両陛下と黙祷を共にさせていただき、戦後の平和に感謝いたします。
 遺族代表は福井県敦賀市の松永きわ子さん(89)。戦後の苦難を遺族として歩みながらもみ霊に励まされつづけた感謝の思いをふりしぼるように述べられ、胸に迫りくるものがありました。
 20日は、教育再生懇談会事務局メンバーと、千葉県、千葉市、八千代市の教育委員会の皆さんと意見交換をしました。
 武道場、和室をはじめとする教科センター方式の教室などについて、打瀬中学校の視察、ITシステムについて八千代市教育センター、萱田南小学校の視察を行いました。
 
 伊豆の山の中で「美しき日本の家庭教育」丸山敏秋(致知出版社)を読みました。
 人格形成に大きな影響を及ぼし、人生の土台ともなる家庭教育再生について、親と子、社会について知っておくべきさまざまなエピソードと考察が記されています。
 丸山敏雄、柳田国男、宮本常一、幸田文、山本七平、岡潔…先人からのメッセージに目を開かれる思いがします。
 その中で、渡辺京二「逝きし世の面影」の中から、幕末から明治初期にかけて来日した外国人の日本と家庭、子供の描写がありました。
 なつかしくなって1999年、和辻哲郎文化賞を受賞した本を読み返して心躍るいくつかの日記を引用します。
 まず、大森貝塚を発見したことで知られるエドワードモースは、
「世界中で両親を敬し老年者を尊敬すること、日本の子どもに如くものはない」
「母親が赤ん坊に対して疳癪を起こしているのを一度もみていない」
「世界中で日本ほど、子供が親切にとり扱われ、そして子供のために深い注意が払われる国はない」
「日本人は確かに児童問題を解決している。日本の子供ほど行儀がよくて親切な子供はいない。また日本人の母親ほど辛抱強く愛情に富み、子供につくす母親はいない」
 次に旅行家イザベラ・バード「日本奥地紀行」を著し、東北地方まで馬で旅行した女性は、
「子供たちは朝から晩まで幸福であるらしい」
「男たちは自分の家庭生活を楽しむ」
「私はこれほど自分の子どもに喜びをおぼえる人々を見たことがない。子どもを抱いたり背負ったり、歩くときは手をとり、子どもの遊戯を見つめたりそれに加わったり、たえず新しい玩具をくれてやり、野遊びや祭りに連れて行き、子どもがいないとしんから満足することがない。他人の子どもにもそれなりの愛情と注意を注ぐ。父も母も、自分の子に誇りをもっている」
「ヨーロッパの国の多くや、ところによってはたしかにわが国でも、女性が外国の衣装でひとり旅をすれば現実の危険はないとしても、無礼や侮辱にあったり、金をぼられたりするものだが、私は一度たりと無礼な目にあわなかった。法外な料金をふっかけられたこともない。」
 1878年(明治11年)のことです。
 1889年(明治22年)来日した英国の詩人エドウィン・アーノルドは
「地上で天国あるいは極楽にもっとも近づいている国。その景色は妖精のように優美で、その美術は絶妙であり、その神のようにやさしい性質はさらに美しく、その魅力的な態度、その礼儀正しさは、謙譲であるが卑屈に堕することなく、精巧であるが飾ることもない。これこそ日本を、人生を甲斐あらしめるほとんどすべてのことにおいて、あるゆる他国より一段と高い地位に置くものである。」
とスピーチしました。
 1857年(安政4年)ハリスの通訳として通商条約交渉にピタリとつきそっていたヒュースケンは、12月7日の日記に
「いまや私がいとしさを覚えはじめている国よ。この進歩はほんとうにお前のための文明なのか。この国の人々の質実な習俗とともに、その飾りけのなさを私は賛美する。この国土のゆたかさを見、いたるところに満ちている子供たちの愉しい美声を聞き、そしてどこにも悲惨なものを見いだすことができなかった私は、おお、神よ、この幸福な情景がいまや終わりを迎えようとしており、西洋の人々が彼らの重大な悪徳をもちこもうとしているように思われてならない」
と記しています。
 また、日本人はよく笑い、明るい国民性であることをリンダウ(1859年来日したスイス通商調査団の団長)は
「日本人ほと愉快になり易い人種は殆どあるまい。良いにせよ悪いにせよ、どんな状況でも笑いこける。そして子供のように、笑い始めたとなると、理由もなく笑い続けるのである」
と、
 明治11年にはクライトナー(オーストリア陸軍中尉)が
「日本人はおしなべて親切で愛想がよい。底抜けに陽気な住民」
と記しています。
 1549年11月、フランシスコザビエルは、イエズス会宛日本報告第一信に
「この国民は自分たちがこれまで接触してきた諸国民の中で最高に傑出した人々である。まだキリスト教化されていない国民で日本人ほど優秀な者はいない。彼らは総体的に親しみやすく、善良で悪意がない。驚くほど名誉心が強く、他の何物にも代えてまず名誉を重んじる。日本人はたいがい貧乏である。だが武士たると平民とをとはず、貧乏を恥じだと思っている者は一人もいない」
と書いたことは有名です。
 過去をなつかしみ、讃美し、いたづらに哀惜の念にかられるのではなく、もともと日本は明るく、よく働く、ていねいで賢い民族であり、今も恐らくそうなのでしょう。
 BBC放送で『世界で最も貢献する好ましい国』として日本が3年連続世界一であることなども、ご先祖さまに感謝しなければならないことなのでしょう。こうしたことを子供たちに少しでも伝えられたらなあと思います。

平成20年8月20日 山谷えり子

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