メッセージ(バックナンバー)

 週末は、大阪で拉致問題解決のための集会、約3000人集まって下さいました。
 家族会代表の横田滋さんは過労で倒れ、早紀江さん、増元さん、飯塚さん、有本ご夫妻、地村さんらが出席。家族会の信頼あつい内閣府元参与中山恭子さんもご一緒でした。
 12月6日には人権担当大使が任命され、政府の関係閣僚会議もエンジンがかかり直し、国際社会との連携、特定失踪者の調査推進体制づくりが打ち出されています。
 また、これは日本国内の問題でなく、世界の問題となっています。日・中国系・韓・仏・オランダ・イタリア・ルーマニア・レバノン・ヨルダン・マレーシア・タイと判明しているだけでも11カ国の被害者がいます。大阪集会には、レバノン関係者が出席して下さいました。
 大阪から福井へ夜遅く到着。雪のために列車が遅れます。中学まで育った福井の駅に降りると道の両脇に雪がうず高く積みあげられていました。昭和38年サンパチ豪雪の年は、二階から出入りし、電線に首がひっかからないよう注意したものでした。
 私は子どもながらに雪かき係。忍耐心と足腰の力が鍛えられたと思います。でも、現在の福井は高齢化も進み、雪かきがままならぬ家もあります。雪かきで亡くなられた高齢者もおられます。私のおじも昔雪かきで亡くなりました。悲しい思い出です。皆さんが足腰を痛めぬよう、ケガせぬよう祈りました。
 次の朝はテレビの放送。福井は共働き率が全国一位なのですが、母乳育児率も45%と高く、男性の協力は7割のご家庭であり、暮らしやすさが全国トップクラス、出生率は全国11番目と、今後の日本のモデルになるような県なのです。子供と家族を大切にする県民性は素晴らしいことだと話しました。
 その後は福井の後援会で国政報告。雪なぐりの中を赤ちゃんをおんぶして駆けつけてくださったお母さん、男女年齢幅広い皆さまが足をお運び下さり感謝です。帰路も列車は遅れます。ごったがえす待合室でふるさとの文学を読み返しました。
 与謝野晶子と「明星」で共に活躍した山川登美子。鉄幹への思慕で火花を散らしたともいわれる登美子ですが
 「をみなにて又も来む世ぞ生まれまし花もなつかし月もなつかし」
の歌は、大好きです。
 結婚で家事にいそしみ、歌を歌うことをやめた登美子は、夫の死後、日本女子大学に入学し、先生になろうとし、「明星」への投稿も始めるのですが、結核で29才で亡くなります。ふるさとの待合室に座る女学生たちの顔を見回しながら、
 「をみなにて又も来む世ぞ生まれまし花もなつかし」
 という生涯を生きてほしいと思いました。“花もなつかし、月もなつかし”はいいですね。“雪月花時最想友”雪や月や花の時は友だちのことを最も想う時でもある。川端康成も言っていますが、これが日本人の生きることへの愛であり、感性なのでしょうか。
 つづいて、友人が差し入れしてくれた橘曙覧の独楽吟(ひとりたのしめるうた)も読み返しました。平成6年天皇皇后両陛下ご訪米の際にクリントン米大統領が幕末期の福井の歌人橘曙覧を引用し
 「たのしみは朝おきいでて昨日まで無(なか)りし花の咲ける見る時」
に感動したとスピーチしたことから、全国的に注目し直された歌集です。
小泉総理も予算委員会の席で、
 「たのしみはまれに魚煮(いをに)て児等皆(こらみな)が
うましうましといひて喰ふ時」
を好きだと言われました。貧しい生活をした歌人が、人情と家族、人生を歌ったもので、歌人の家は、私の少女時代の遊び場エリアでもありました。
 「たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭ならべて物を喰ふ時」
 「たのしみはそぞろ読ゆく書の中に我とひとしき人を見し時」
 「たのしみは雪ふるよさり酒の糟あぶりて喰て火にあたる時」
 「たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき」
 人情のきわみ、つぶやきを聞きながら、どこまでも白い、白い雪の中を遅れて走る列車に揺られたのも、また友人と自然から私へのプレゼントだったのかもしれません。

平成17年12月19日 山谷えり子

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