幼稚園などに講演に行った帰り道“私、子どもを虐待してしまうんです。”と、切羽詰まった表情で相談されることがあります。じっくり話を聞いてみると、マジメな母親が孤立無援の状況のなかで自分を責めすぎているという面が強く“そりゃあ、人間はカッとなって子どもにつらくあたることもあるわよ。アナタ自身がまず幸せになること、自分を責めすぎないこと。いい意味で、もっと大らかになったらどうかしら”とほほ笑えんであげると、涙をポロポロ流されて感謝されることがあります。 |
知人の大学教授からこんな話を聞きました。「僕のクラス50人の女子大生の中で子守歌を聞きながら眠ったことのある人は2人。おとぎ話を聞きながら眠ったことがある人は3人でした。母親教室で子どもを抱きしめてあげて下さいと言うと、“どの位の強さで一日何回ですか”と質問する人も珍しくありません。母親は伝承されるものであるのに、これでは心配」と。子守歌を歌われ、抱かれて育つ…あたりまえのことと思っていたことが、もうあたりまえではないのですね。 |
母親を伝承していくこと、母であることの恵みを伝えていくことが大切。「愛の反対は憎しみでなく無関心」と言われたのはマザーテレサですが、愛を表現するすべを知らず、伝わっていないとは本当に淋しい時代です。 |
|
平成17年2月27日 山谷えり子 |