メッセージ(バックナンバー)

 福岡、熊本、大分、佐賀、そして京都石清水八幡宮の桜にはじまり、愛知、滋賀、香川、愛媛の椿神社、岡山、広島、山口は防府の日本一古い天満宮、山形、秋田、大阪、三重…毎日多くの人々と話し、車中からのレンゲソウや菜の花の花畑、緑の里山と柳青める河原に遊ぶ子供たちと、日本の春の原風景を目にしながら全国を走り回っています。
走りながら、頭の中は、拉致問題解決のあり方、教育、年金改革や雇用問題への対応など、国会審議の行方が気になるばかりです。大きなデザインが描けず、抜本改革が困難なのは、憲法や教育基本法改正など、根本法の見直しが進まないことや、人の心のありように起因することも多いように思います。
 今度の参議院選挙は、こうした戦後の宿題を片付けられる時。その“時”をどう作るかの選挙、体の中はメラメラと燃えています。
 ところで、わが事務所に、池田内閣・佐藤内閣につかえた、それでもやたらに若々しい“時を越えた美女(!?)”が加わりました。
 池田勇人総理の“所得倍増計画”の演説を聞いたのは、私が小学生の時でした。友人たちとお菓子を食べながら福井のわが家で遊んでいた時、国会演説の画面がとびこんできたのでした。独特の渋味のある総理の声を聞きながら、“お金が二倍になるんやざあ、おやつも二倍になるんやざあ”と私たちは茶ぶ台のお茶菓子をつかみとり、ほおばり、中にはポッケにしこたまおどけてつめこむ友もありで、大笑いしたことを鮮やかに思い出します。
 昔の小学生たちは、私の父が政治部記者だったせいかもしれませんが、政治家を尊敬し、国のかじとりに素朴な期待を寄せ、朗らかであったと思います。
 いい国に良きタイミングで生まれたことを感じ、喜び生きることが出来た少女時代の恩返しに、今度はいくらかでも次の世代に希望を与える環境づくりが出来たらと、祈りをたずさえての全国遊説の日々に感謝したいと思います。
 “泣いてゆく向こうに母や春の風”(中村汀女)の句にまつわるエッセーを詩人の辻井喬氏が日経新聞に書いていらっしゃいましたが、ああ、私も春の風の中に笑顔の母を求め、そして、母となれた日に、三人の子らが光の風を浴びながら私を求めてきた日々を思います。豆の花をつみ、クローバーの花で冠をあんだ日々はつい昨日のことのようです。
 今月は月刊正論(1日発売)に夫の思い出エッセーを、Voice(10日発売)に夫婦別姓問題について、新聞に家庭科教科書の問題を書きました。ラジオでエッセー朗読、対談もしています。
 ジャーナリスト、エッセイストとしての活動は、三十年来私には欠かせない柱です。
 どうぞご指導、ご支援下さいませ。

平成16年4月 山谷えり子

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